虚業的木材業

前回からタイトルに「ブログ辛口の酒」という言葉を入れるのをやめました。このブログは辛口コラムのコラムをブログ化したものなので、いちいち書く必要はないかなと…
さて、前回、世界的に実業の世界が衰退し、虚業が幅を効かせる時代になったと書きました。木材業界は「木」と言う物を仕入れ、販売する実業ですが、加工など手を加え付加価値を上げても、所詮「物」は「物」で、実業界からの脱皮は出来ません。
当社は販売している羽目板やフローリングを新木場に近い現場に収めたとき、大工さんに端材はこの土嚢袋に入れておいて下さいと頼み、内装工事が終わったら連絡して貰うように頼んでいます。この端材を手のすいた時に10センチ角に切り、バリを取り、角も少しサンダーで尖りを取ってコースターを作ってイベントやインターネットで販売しています。販売には私はタッチしていませんが…
ただ、これだけでは高くは売れません。単に四角い「木」を売っているだけですから。せいぜい、4枚300円程度です。
しかし、その表面に小さなイラスト、たとえばかわいいネコちゃんやワンちゃんなどを描くと、なんと1枚350円で売れるのです。カワイイ!と言って買ってくれる人たちは、四角い木の板を買っているのではありません。イラストにお金を払っているのです。
長男のアイデアで、これを虚の世界と言ったら叱られてしまうかも知れません。しかし、木材と言う「物」を扱ってきた私にしてみれば、「実」ではなく「虚」に見えます。
住宅でも一般的なデザインの家ではなく、有名な建築デザイナーが設計した住宅は、それだけで非常に高くなります。付加価値といっても、「実」の付加価値よりも「虚」の付加価値の方が大きいのです。
売って、工務店から代金を貰い、その端材を加工して、また売ると言うこと自体が「虚」のような気もしますが…